平成28年春季研修会参加レポート
株式会社銀座パーキングセンター
取締役駐車場部長 乾 康則
平成28年度春季駐車場研修が3月4日(金)に開催され、44名の方が参加されました。
当日は好天にめぐまれ、「環状七号線地下調節池」を見学した後、東京駅に隣接する新しく生まれ変わった「鉃鋼ビルディング」を見学しました。
環状七号線地下調節池
環状七号線地下調節池 善福寺川取水施設を見学、とても清潔で機能的な会議室にて東京都第三建設事務所の新谷所長様、高橋工事第二課長様から施設の概要説明を受けました。
環状七号線地下調節池とは、環状七号線の地下34メートル〜43メートルに延長4.5km、内径12.5メートルのトンネルを掘り、大雨の際に川から水を流し込んで洪水約54万㎥を貯留することができる施設です。台風などの大雨で一定以上の水位になった神田川・善福寺川・妙正寺川の水を、環状七号線の地下のトンネルに流し込み、水位が下がった頃に再び川に戻す役割を持ちます。平成20年3月に第二期工事が完了し、上記の3河川からの本格的な取水を行うことができ、地域限定的な降雨に対しても効果的な取水ができるそうです。
中央制御室に移動すると壁面に6つの監視画面モニタがあり、川の護岸が映し出され、画面そのものに警戒線が引かれていました。目視による監視によって水の流れがその線を超えるかどうかで地下調節池への取水口の開閉を判断するとのことでした。遠隔操作により、善福寺川取水施設から他の取水施設のゲート・ポンプ・換気などの設備を操作できるそうです。なお、自家発電設備もありますが、停電時に最悪でも取水口を手動で開くことができるとのことでした。ちなみに、事務所内にある水槽には、川から水を流し込んだ際に地下調節池へ入ってしまった魚が飼われていました。
地下にある調節池へと移動します。15階分の建物ほどある階段をひたすら降りること数分、地上から約46メートル、そこには主排水ポンプ電動機室がありました。巨大なポンプに目を奪われつつ、その奥にある水圧に耐えられるであろう潜水艦の内部のような頑丈な扉をくぐり、トンネル(導水連絡管渠)に入ります。トンネル内部は照明などが設置されておらず、職員の方が持つライトの明かりが頼りで全体を見渡すことになります。
まず目に入るのは水が減勢池に滝のように落ち込んでいく天井の流入口です。河川から流れてくる水は、地下46メートルまで流入孔内を水の勢い・振動を抑えるために考案された「ドロップシャフト」と呼ばれる渦を巻く方法で減勢池に流れ込み、プールされ、その水が導水連絡管渠(直径6メートル)という小さめのトンネルを通って地下調節池へと流し込まれます。導水連絡管渠内を歩くこと数分、ようやく内径12.5メートルのトンネルに到着、その大きさ、天井の高さに驚きました。見学時はトンネル内の清掃が終わったばかりとのことでトンネル内は水も臭いもなく非常にきれいなものでした。この後、雨期になるまでの間は、防火用水槽として6万㎥の水を貯水しておくそうです。
トンネル内には天井等の壁面にカタカナで点検箇所を示すマーキングがありました。トンネル内を調査し、日頃から経過観察をしながら安全第一に運用しているとのことでした。自然の猛威から日々の生活を守っていくための取り組み・努力は、思っていた以上に大変なことなのだと改めて気づかされました。
鉃鋼ビルディング
2015年10月に東京駅八重洲側に竣工した地上20Fのにぎわい施設棟と地上26Fのオフィス棟の2棟からなる延べ床面積116,600㎡、高さ135メートルの高層ビルです。東京の新たなランドマークとして空港リムジンバスの発着場、飲食店、クリニック、サービスアパートメント、貸会議室、フィットネス、オフィス等からなる複合施設です。江戸城の外堀の上に立つため、外堀の形に応じて、ビルも一部曲がって建築されています。
コンセプトは「つなぐ」。丸の内-八重洲、地方-東京、日本-世界というように結ぶことを基本に施設やサービスを充実、「国際化」「快適性」「安全性」を重視した24時間利用できるグローバル時代に対応した機能を持っています。
そのひとつが空港リムジンバス発着場です。壁面に世界の主要都市の時刻を表示するおしゃれな時計がついた1階ロビーから羽田・成田空港行きリムジンバスに早朝から深夜までいつでも乗り降りすることができます。
同ビルは1951年に戦後初の高層ビルとして八重洲にオープンしたそうですが、当時の建物に使用した大理石の一部をメモリアル的に使用しているなど全体的に石を使った重厚なイメージが印象に残りました。
オフィス棟では、入館に当たり入館証を受け取り、まず1階のエレベータホールに入る際にチェックをし、さらに最寄階のエレベータホール及びオフィス入口と複数回チェックするという厳重なセキュリティー体制を整えているとのことでした。ちなみに、入館証でエレベータの停止階を決めることができるそうです。
オフィスフロアは、柱を外壁部及びコア部分に集め、執務スペースは非常に視界の広い無柱空間となっていました。
3階と4階の間に免震構造を導入し揺れを最小限に抑える安全性を高める構造となっているそうです。4階にはリムジン利用者も有料で使えるラウンジがあり、非常にゆったりとした高級感のあるたたずまいでした。
地下の駐車場は、計209台(機械式:159台、平置き:50台)が駐車可能で、非常にシンプルで機能的なつくりながら、一部に敷石を配置し、案内する方も服装がホテルマンのようで洗練された雰囲気でした。
見学後は、同ビル内にある小籠包が看板メニューの台湾点心料理店「鼎泰豐(ディンタイフォン)」にて意見交換会が開かれました。東京駐車協会の伴副会長様の乾杯のご発声で始まり、おいしい料理とお酒に舌鼓を打ちながら、和やかな雰囲気の中、楽しく交流の時間を過ごすことができました。
今回で3回目の参加となりますが、通常ではなかなか見ることのできない都内のコアな都市インフラ施設や先進的な話題スポットを見学させていただき貴重な体験をさせていただきました。このような機会を作っていただいた事務局の方々や懇切丁寧にご案内をいただいた皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。