友好団体TOPICS 時間貸し駐車場における表示・運用に関するガイドラインについて
一般社団法人日本パーキングビジネス協会(JPB)では、「時間貸し駐車場における表示・運用に関するガイドライン」を発表し、具体的な表示の適正化を取り進めています。
近年、時間貸し駐車場の表示や運営におけるトラブルが増加傾向にあることを受けて、国民生活センターは2013年10月にJPBに対し、改善の要望書を出しました。これを受け、JPBは検討を重ね、2014年10月に「時間貸し駐車場における表示・運用に関するガイドライン」を制定し、国民生活センター・国土交通省にも了解いただきました。その後ホームページ上で公開するとともに、具体的な会員への徹底・推進を行っています。また併せて2014年12月1日から表示の適正化を求めて、自治体の権限強化や課徴金の導入等、従来以上に厳しく改正された「景品表示法」が施行され、コンプライアンスの側面からも駐車場表示の適正化が強く求められております。そこで今回はJPBが進めるガイドラインのポイントについて説明をさせていただきます。
1.ガイドラインの背景
無人の時間貸し駐車場では、看板表示の誤認に基づくトラブルが増加しており、場合によっては「有利誤認」と受け取られかねないケースも散見されます。最も多いトラブルは「最大料金」に関するもので、例えば「一日最大2,000円」のはずなのに、「繰り返しの表示を利用者が見落とした」、「看板に記載がなかった」、あるいは「非常に分かりにくい、見えにくい表示になっていた」ため、気づかずに二日停めたら4,000円以上の高額な料金が請求された」というケースです。(表1)
表示だけでなくゲート式での駐車場で券紛失した場合に、高額な「紛失時料金」を請求されたという運用上のトラブルも後を断ちません。こういった課題の改善を国民生活センターは要望しており、また同様の内容が国土交通省・消費者庁からも指摘されているところであります。
2.ガイドラインの特色・構成
国民生活センターが今回JPBに要望していることは、大きく分けて下記2点です。
①消費者が利用前に料金や利用条件について理解できるよう、適切な表示を行うこと。
②不当と思われるような請求を行わないよう配慮すること。
ガイドラインは、以上2点を中心に表示だけでなく時間貸し駐車場の運営面にも踏み込んだ具体的な対応指針を示しています。加えてこれだけは避けなければならない法律に抵触する恐れのあるNG事例を具体的に明示し、なるべく分かり易い形で会員に徹底しております。
また従来、時間貸し駐車場は、無人であるが故に数々のトラブルがありました。中にはお客様からの明らかに理不尽な要求もあったため、駐車場運営事業者側が防御の必要性からやや過剰な対応をする場合があるという側面がありました。例えば、券紛失時においても利用者感覚からかけ離れた料金を徴収するケースも散見されます。
ガイドラインは悪質なお客様に対する対応は別次元で考えることを前提に「お客様はすべて善意で行動している(性善説)」として組み立てております。
3.ガイドラインの主なポイント
それではガイドラインのポイントについて簡単に説明いたします。
詳細は是非ガイドライン本編をご参照ください。(一般社団法人日本パーキングビジネス協会のホームページからご覧いただくことが可能です)
①駐車料金に関する表示
・ 案内看板に下記の記載必須項目を設定する。
[通常料金、最大料金、曜日、時間、特定料金、繰返しの有無、問い合わせ先、駐車場名、会社名(ブランド名)]
・最もトラブルの多いサービス料金表示は業界標準語として「最大料金」とする。
また、最大料金の繰り返し有無をわかりやすく料金表示に併記する。
・看板必須事項の文字の大きさは最低文字髙30mm以上とする。
・ 国民センターは統一看板を作ることを提案してきたが、業界としてそれは難しいので、代替案としてJPB統一フォーマットを用意し、全駐車場に貼付することとする。
②駐車券の紛失に関する表示
・券紛失時の対応としては「連絡による返金前提」扱いを原則とする。
→ 右下の「駐車券紛失届・返金依頼書」をご提出いただくことによって紛失料金から正規料金と手数料を差し引いた差額を返金する。
・今後紛失時料金の金額設定には注意が必要。
・悪質な常習者に対しては別途対応を検討する。
③精算時に関する表示
・ 釣銭が出ない精算機については、釣銭対応の精算機を導入するとともに導入までの期間は釣銭が出ないという事を利用者が理解した上で利用できるような表示をする。
・ 精算機操作を誤った場合、現状では取り消し等が困難なため、誤操作に関する注意喚起を促すよう、統一フォーマット等に記載する。また、メーカーに対しても業界として開発を促す。
④禁止事項に関する表示
・駐車期限を統一フォーマット等に明示する。
・ ゲート式駐車場の精算後バック不可については、統一フォーマットへの記載とともにゲートバー自体に表示することも推奨する。
4.今後の進め方
今回のガイドラインへの対応は、駐車場運営業者にとってコストも時間もかかる話ではあり、大きな負担となりますが、協会としては何とか平成26年度末までには、一定の導入成果が上がるように推進を図っているところです。またJPB会員以外からも様々な反響があり、ガイドラインに沿って改善を図ろうという業者も出てきております。
今回の国土交通省・消費者庁・国民生活センターからの要請は、まさに時間貸し駐車場が重要な社会インフラであると認知されつつあるという事の証左ともいえ、JPBとして業界全体のレベルを上げていくためにも重要な取り組みであると考えております。
またガイドラインは「おわりに」でも述べている通り、万能マニュアルではなくあくまでも「指針・目安」であり、今後も利用者の目線に立った運営及び表示をすることが最も重要なポイントとなることを肝に銘じて取り組んでいきたいと考えております。