第55回通常総会見学会参加レポート

総会見学会参加レポート(6月9日)

株式会社富士ダイナミクス
営業本部副本部長 パーキングシステム営業部長 小坂田弘也

第55回通常総会見学会は、6月9日(木)、10日(金)に44名の参加で開催されました。東京駅、日本工業倶楽部前を7時30分過ぎに出発。車中では全日本駐車協会黒田専務理事様より、今年は日露戦争終結111年に当たり4年前の大連203高地見学と今回の艦船造船及び軍港めぐり~戦艦三笠見学との関連性のご紹介がありました。

6月9日(木)

ジャパンマリンユナイテッド(株)横浜事業所磯子工場

朝からの雨も止み、バスは株式会社IHI横浜事業所の正門を入りました。ここで、ご案内のためお待ちいただいていた、IHI運搬機械株式会社の瀧島様、三宅様、吉澤様がバスに乗
り込まれ、株式会社IHI横浜事業所のさらに奥にある、ジャパンマリンユナイテッド株式会社横浜事業所の門をくぐったのであります。

まずは会議室でジャパンマリンユナイテッド株式会社佐々木管理部長様から企業の概要をお聞きし、会社紹介ビデオを鑑賞後ヘルメットと作業着に着替え、いよいよ工場の中へと進んでまいりました。

研修風景

研修風景

ジャパンマリンユナイテッド株式会社様は、IHIの船舶部門と住友重機械工業の艦艇部門が分社化し2002年にアイ・エイチ・アイマリンユナイテッドを発足、同時期に発足した日立造船と日本鋼管の造船部門が経営統合したユニバーサル造船と2013年に合併し、現在に至っており、横浜事業所磯子工場様は標準船と官公庁船の建造・修理を担っておられます。工場の中では、船舶の部材が細かいパーツごとに細断、曲げ、組立、溶接がされており、大きな船がこれだけ細かいパーツで組立てられていることに驚かされました。

建造ドッグ前

建造ドッグ前

陸上の工場内である程度まで組立てられたパーツは、陸上で100個程のブロックに組立てられた後建造ドッグに移され、いよいよ船舶の形を成していく過程を見学することが出来ました。

当日は工場敷地内の突堤には、建造途中の艦艇も見ることができ、間近で見た巨大な艦艇に参加者の方々からも溜息が漏れておりました。あいにく超極秘事項のため、艦艇名の公表も写真撮影も禁止となっておりますのでご容赦ください。

株式会社IHI つなぐラボ

続いて株式会社IHI横浜エンジニアリングセンター内にある“つなぐラボ”に移動しました。こちらでは2グループに分かれ、ご担当者様の案内で見学いたしました。こちらの場所はHIHグループとお客様がニーズとシーズ、技術、情報、人脈を相互につなぎ新しい価値を創造するために設けられた場所です。中はカフェテリア・先端技術エリア・共想エリア、展示エリアと2つのエリアに分かれており、新しいビジネスソリューションを導き出すためにリラックスできる環境を用意してあります。このような場所でアイデアを創造できたり議論を交わせる環境があることは羨ましい限りです。

昼食:メルキュールホテル横須賀

午後の目的地である横須賀に移動し、こちらで昼食となりました。昼食会場はメルキュールホテル横須賀の19Fにある、ビストロ・ブルゴーニュです。全日本駐車協会の研修会では珍しく洋食となりました。横須賀湾を見下ろせるフロアで、いつもとは違った雰囲気の昼食となりました。

メニューは、若鶏のロティ、ズッキーニのトリロジーとパン、コーヒーです。ワインやビールが似合いそうなランチとなりましたが、ワインやビールを見たような気もします。

メルキュールホテル横須賀昼

メルキュールホテル横須賀

昼食風景

昼食風景

YOKOSUKA軍港めぐり

横須賀湾にて湾内の艦艇ツアーがあることを今まで知りませんでした。ツアーで見ることのできる艦艇は、海上自衛隊及び米海軍の艦艇ですが、見学用に停泊しているわけではないので、その日に何が見学できるかはすべて運次第ということです。

我々の乗り込んだツアー船は穏やかな湾内に滑り出ていきました。

まず最初に目に飛び込んできたのは海上自衛隊の潜水艦です。アメリカ海軍施設側に停泊しており、同盟国といえども他国の敷地内に潜水艦が停泊することは世界的にみても非常に珍しいことだそうです。この日は停泊している艦艇も多く、特に珍しいところで、アメリカの沿岸警備隊艦船までが停泊しておりました。通常はグアム島までしか来ないそうで、何か特別な任務でもあったのでしょうか。想像力を掻き立てられます。

そうりゅう型潜水艦

そうりゅう型潜水艦

その後は、加藤企画委員長力作の海上自衛隊艦艇一覧表や海上自衛隊護衛艦隊資料を片手に、ツアー案内人の方の絶妙なアナウンスと次々現れる艦艇に見入ってしまいました。ちなみにこの日は、護衛艦むらさめ、いかづち、やまぎり、ヘリ搭載護衛艦いずも(実質空母といわれるだけのことはあると思いました)、機雷艦艇等が数多く停泊しておりました。機雷艦艇が木製(最近は樹脂製)であることも今回初めて知りました。

米沿岸警備隊

米沿岸警備隊

先月には原子力空母ロナルド・レーガンもこの湾に停泊していたとのことで、日米同盟の絆の強さをつくづく実感した日となりました。

ヘリ搭載護衛艦いずも

ヘリ搭載護衛艦いずも

記念館三笠及びペリー記念館

下船した我々は、横須賀カレーや自衛隊厳選焼酎などを買い込み記念館三笠へと移動しました。戦艦三笠はおのずと知れた日露戦争で東郷平八郎連合艦隊司令長官を乗せた連合艦隊旗艦であります。ビデオで日露戦争及び三笠の歴史を学んだあと、艦内を各々見学しました。

ここは坂の上の雲のロケでも使用された場所ですが、日露戦争開戦の真相は一部触れられていなかった部分があったことや、第2次世界大戦後、甲板の上にダンスホールを作った日本人がおり、逆に三笠を保存するためにアメリカ人が反対していたことなど歴史の隠れた真実を学ぶ機会となりました。時間が限られていたのが残念です。

記念館みかさ

記念館みかさ

その後本来は観音崎公園の散策の予定でしたが、今朝がたの雨の影響や思いのほかハードな1日であったため、予定を変更しペリー記念館を訪問しました。ペリー来航の記念碑や記念公園でゆったりと過ごし、今夜の宿泊地へと向かいました。

意見交換会

宿泊先は、観音崎京急ホテルでした。夜は伴副会長の乾杯の挨拶で意見交換会が行われ、途中友田横浜駐車場協会会長も横浜から駆けつけて下さり、夜の更けるのも忘れて熱心な意見交換会が続いたのでありました。

意見交換会

意見交換会

総会見学会参加レポート(6月10日)

株式会社富士ダイナミクス パーキングシステム営業部
営業推進部長 池田 孝文

6月10日(金)

昨晩は観音崎京急ホテルに泊まり朝起きると窓の外は一面の靄、雨は降っていないものの見えるはずの東京湾の景色は一切見えない状態でした。ところが、朝食時には徐々に靄が取れ始め、いざ出発という頃にはすっかり晴れ、本日最初の目的地由比ヶ浜地下駐車場へ向かいました。到着のころにはかなり蒸し暑くなっておりました。

由比ヶ浜地下駐車場

この駐車場は国道134号線を由比ヶ浜海水浴場とはさむ形で存在し、地下には普通車188台、大型車12台収容の大空間が広がります。上部は広々とした公園になっており近所の方々の憩いの場となっておりました。

駐車場入り口

駐車場入り口

駐車場上部の公園

駐車場上部の公園

地下のバス乗り場待合にて神奈川県土木事務所の高橋様、山崎様から駐車場の概要説明をしていただきました。

施設説明風景

施設説明風景

本駐車場はパークアンドライドの先駆けとなっており、混雑する鎌倉市内への自動車流入をいかに減らすかという着眼点で設置されているそうです。利用者は駐車料金1660円(4時間)でフリーパス切符を2枚までもらうことができ、シャトルバス(場内発車)または近所の和田塚駅(江ノ電)から各観光名所に向かうこととなります。追加のフリーパスが欲しい利用者は、場内の自動券売機で1枚460円を支払うことにで購入することもできます。シャトルバスは20分ごとに鎌倉駅、鶴岡八幡宮に向けて発車しており、江ノ電、江ノ電バス、京急バスが指定エリア内乗り放題となり、さらに神社仏閣にて粗品をいただけるとのことです。

パークアンドライドは日曜祝日のみとのことですが、年間約6万台の駐車場利用に対し約3千台がこのサービスを受けているとのことです。特に6月のアジサイのころに利用客が多いそうです。ちょうど今回の見学会の時期の土日は利用が多いとのことでした。以上のように駐車場を地域全体に役立てたことが高く評価され第3回ベストパーキング大賞最優秀賞に選出されたそうです。

駐車場地下部分

駐車場地下部分

パークアンドライドパス

パークアンドライドパス

長谷寺

長谷寺の周辺は、平日で、しかも世間的に忙しいといわれる5、10日(ごとうび)にも関わらず大変な混雑ぶりでした。さすが、アジサイで有名なお寺です。

JTB添乗員の菊池さんの機転で長谷寺駐車場と連絡を取り、1台分空いていた大型駐車場に無事滑り込むことができ定刻どおりの到着となりました。

バスガイドの二之方さんのお話では、お寺の歴史は奈良時代からとされており、大和の長谷寺を開基した徳道が同じ楠から十一面観音を二体つくり、一体は大和の長谷寺の本尊とし、もう一体を祈願して海に流したところ三浦半島に流れ着いたそうです。流れ着いた一体が鎌倉の長谷寺の十一面観音とのことです。

混雑する山門

混雑する山門

今回の見学会は梅雨時でしたが、運の良いことに昨日までの雨模様が一転して晴れ、アジサイのみずみずしい葉に、色とりどりの花が見事に咲き乱れ長谷寺見学には最高の一日でした。

ご本尊の十一面観音は撮影禁止ですので、山門の混雑ぶりと美しいアジサイ路を写真でご紹介いたします。

アジサイ路

アジサイ路

覚園寺

覚園寺は完全予約制のお寺です。鎌倉時代、北条貞時が開基したお寺で、ご本尊は薬師三尊です。昔からの姿をそのまま残している数少ない鎌倉のお寺といわれているそうです。山門から中に入ると確かにそこは別世界でした。山と大きな木々に囲まれひんやりとしており、本日のこれまでの蒸し暑さが嘘のようでした。

まず、山門を入るとすぐに見えてくるのが愛染堂です。愛染堂をお参りすると、そこには境内を説明していただける和尚さまが待っておられました。覚園寺では参拝者一組に対して和尚さまが必ず一人付いて説明していただけるそうです。

愛染堂には明治時代に廃寺になった大楽寺にあった本尊の愛染明王、不動明王、阿閦如来(あしょくにょらい)が安置されており、すべて鎌倉時代に造られたものだそうです。

なかでも不動明王が鉄製であるのが特徴で、錆びる鉄は京都、奈良では仏像造りには嫌がられ材料として使われることはなかったそうです。鎌倉は武士の文化だったのでそのようなことにこだわらなかったとのことです。

また、愛染明王は煩悩をそのまま受け入れていただける仏様で、他の仏様と違い個人の欲望についてお願いして良いと教えていただき、私を含めてかなり多くの見学者が熱心に拝んでおられました。

覚園寺山門

覚園寺山門

愛染堂

愛染堂

次に私たちは境内の庭に通していただきました。ここからはすべて撮影禁止です。美しい風景を写真に収められないのは非常に残念です。いろいろな樹木がありました。どの樹木も背が高いのは、このお寺ができてから長い年月と時間を積み重ねたからと思われます。高い樹木はすべての直射日光をさえぎり、吹いてくる風は実に涼しく心地よいものでした。本日これまでの見学先との違いは静寂が支配しているということです。街の雑踏はすなわち煩悩の世界なのだと思います。このお寺の静寂は別世界で、ここに居ればすべての煩悩を忘れ修行に集中できるのだなと思いました。

その先の苔のじゅうたんの上を歩き、背丈ほどのアジサイの林を抜けると、かやぶきの本堂(薬師堂)がありました。中に入るとうす暗く、これまで明るい光を見ていた目には一瞬何も見えないほどの暗さでした。目が慣れてくるとそこには見るものを圧倒する高さから見下ろす、三体の仏像がありました。ご本尊の中尊薬師如来、脇侍の日光菩薩・月光(がっこう)菩薩です。

また、仏様と参拝者を取り囲むように十二神将が安置されていました。すべて木造で質素な感じですが、静寂の中で薄暗闇から現れる美しい仏様たちは、何とも神々しく、ありがたく思えました。

この本堂は最初足利尊氏によって建立されたそうです。江戸時代には建替えられ現在のかやぶき屋根になったそうですが、天井には和尚様のご説明通り、確かに足利尊氏の名の刻まれた木材が残っていました。歴史の重みを知ることのできる貴重なお寺であると思いました。

その後、境内の中に移築された旧内海家(江戸時代の庄屋の家)、百八やぐら(江戸時代の横穴式墓地全部で177ある)、地蔵堂を見学し覚園寺を後にしました。覚園寺は静寂と闇、光と影の調和が大変美しいお寺でした。

鶴岡八幡宮

皆で昼食を『鉢の木』という店で済ませ、鶴岡八幡宮に向かいました。バスの中でガイドの二之方さんに鶴岡八幡宮の八の字は神の使いであるハトがデザインされているという豆知識をいただきました。到着すると今では世界の観光地といった雰囲気になっており、中国語や英語やまったく初めて聞いたような言語が飛び交っていました。また、修学旅行の学生さんもたくさん来て列をつくっていました。

源実朝が暗殺された際に公暁が隠れていたといわれる大銀杏は、平成22年3月10日未明の強風で倒れてしまいました。あれから6年、樹齢千年の大木は見ることはできなくなりましたが、移植された幹と根からは小さな芽がたくさん吹き出して青々と成長しておりました。銀杏の生命の力強さには本当に感動させられます。

本宮へ向かう階段は61段あるそうです。父の実家が江の島の近くで、子供のころから何度も八幡宮には来たことがありましたが、階段の傾斜が思ったよりきつく感じ、歳をとって体力が低下したことを痛感させられました。階段を上がったところに本宮の門があり、バスガイドさんが言っていた通り、八の字がハトの形になっていました。

暑さの中を息を切らせてようやく階段を上がると本宮があり、やはり混んでいたので簡単にお参りを済ませ自由行動の時間としました。

倒れた大銀杏の切り株

倒れた大銀杏の切り株

本宮の門

本宮の門

私は先に申し上げた通り父の実家が地元で、いまさら特に買うお土産もありませんのでコンビニに駆け込みアイスクリームとスポーツドリンクを買い一気喰いし熱中症対策を致しました。みなさんは思い思いのお店に分散し、鎌倉彫や海産物等購入されていました。バスに戻られたころには両手に荷物がいっぱいの方もいました。

バスは定刻通り15時30分に鶴岡八幡宮の駐車場(駐車場のオーナーは駐車協会の個人会員だそうです)を発車できました。帰り道も特に渋滞することなく順調に東京駅に到着し二日間の見学は無事終了しました。

JTB添乗員の菊池さん、運転士の益田さん、バスガイドの二之方さん安全で楽しい見学会にしていただき本当にありがとうございました。

最後に(小坂田副本部長より)

全日本駐車協会主催の研修会への参加も5年目となりました。毎度のことながら社用により2日目に離脱することが多くなってしまい、事務局並びに参加会員の皆様には大変申し訳なくまた個人的にも心残りで残念でなりません。その為今回の研修会報告は2人がかりでの作成となりました。

この研修会では駐車場の見学だけでなく、市やまちわいでの取組みや施設見学など趣向を凝らした内容が多く、さらには普段では立ち入ることのできない場所の特別な見学などもあり、勉強になる機会に恵まれています。

また参加されている会員の皆様との情報交換が、より一層研修会の中身に厚みを増しているように感じており、いつも楽しく参加させていただいております。

このような研修会を企画していただいた、一般社団法人全日本駐車協会の事務局の皆様並びに今回の研修会を陰で支えていただいた皆様、懇切丁寧にご説明いただいた皆様に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。