令和元年秋季駐車場研修会参加レポート

  令和元年秋季駐車場研修会
 参加レポート
         10月17日~18日  福岡駐車協会 所属  
     石川県金沢市   他  株式会社 八百治
                                           代表取締役社長 内田 秀人

 まず初めに、研修会の前週に日本に上陸した台風19号により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。今回の令和元年秋季駐車場研修会は、石川県金沢市にて10月17日(木)から18日(金)までの2日間、全国各地の協会から参加した42名により実施されました。
 また、私にとって今回が初の北陸地方訪問となりましたが、特に金沢市については北陸新幹線の開通により多くの観光客を集め、まさに独り勝ちとまで言われるほどの高い評価が遠い九州の地まで聞こえておりましたので、今回の研修を非常に楽しみにしておりました。拙文とはなりますが、私なりのレポートを記載させて頂きます。ご容赦下さい。

□10月17日(木) 研修1日目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 研修初日のプログラムは、石川県金沢市内のKKRホテル金沢3階「鳳凰A」にて14時から行われました。
1.座学研修
 講演演題:「まちづくりの視点に立った駐車場政策の展開」
 講  師:金沢市都市政策局 交通政策課係長 中川 宏希 様
 金沢市都市政策局より中川様を講師としてお招きし、近年人気観光都市となっている金沢市の歴史的・地理的な背景から現況の解説、金沢市が考えておられるこれから目指すまちづくりの方向性をお話しいただいた後、交通事情・駐車場政策に至るまで、多岐にわたり解説頂き、その後参加会員からの質疑応答に入りました。以下、雑感も交えて詳細を簡単にまとめます。
 
 金沢市内中心部の主要な公共交通機関はバスのみとなっており、また県民一人あたり一台は車を所有するような土地柄であるため、自家用車が県民の足として不可欠であるという状況と、近年の金沢市の活性化もあって中心部における渋滞問題の解決が大きな課題となっているようです。金沢市としては、中心部に点在する平面駐車場の適正配置と新設を抑制することにより、駐車場の供給台数を全体として減少させることで、都市中心部への自家用車の流入減少および渋滞解消を目指しているとのことです。

 なかなか珍しい「街全体の駐車場の供給量をコントロールして街の活性化を目指す」という手法ですが、個人的な意見をいえばその土地で駐車場営業以上のメリットのある事業がある、もしくは税制でのメリットがある等の理由付けが出来ない限り、平面駐車場の削減にはつながらないように感じました。低コストで開始・撤退できる平面駐車場事業を制限するというのは法律的にも困難とのことですし、公共交通機関がバスのみではそれに頼った解決策としては厳しいと感じます。新しい交通インフラ等の整備等を行う、もしくはまちの中心部に自家用車の流入自体を制限するような大胆な措置が根本的に必要なのではと感じました。いずれにせよ駐車場の供給量のコントロールという手法を交通政策としてとった金沢市の今後の動向に注目したいと思います。

2.金沢城公園・兼六園 見学

 講演会の後、ホテルのすぐ隣に位置する金沢城公園および兼六園の見学に徒歩で向かい
ました。金沢城は戦国武将前田利家が改修・整備した加賀百万石の礎となった城、兼六園は言わずと知れた「日本三大名園」の一つで、まさに金沢市の中心部に位置しています。どちらもとても手入れが行き届いており、さすがの名観光地。特に兼六園については庭師として管理にあたる方々も選びぬかれた面々だそうです。短い時間では回り切れない広さと美しさでしたので、また是非次回も来たいと感じました。

3.意見交換会 (金沢さくら亭にて)
 意見交換会は、兼六園から出てすぐの好立地にある金沢さくら亭で行われました。私も皆さんと近況に関する報告や情報交換をしつつ、北陸の食材を使った料理とお酒をしっかり堪能させて頂きました。ギリギリ二日酔いにはならない程度のお酒にて1日目のプログラムは終了、随時解散となり、皆様それぞれ金沢の夜の街に消えてゆかれました。


□10月18日(金)研修2日目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.永平寺
 研修2日目の最初の訪問地は福井県にある永平寺です。ホテルからバスに乗り、前日講演で話のあった朝の金沢市内の通勤時間帯の渋滞状況も体感しました。福井に向かう高速道路ではガイドさんから遠目に松井秀喜記念館と松井選手の実家を教えて頂きながら1時間半ほどで到着です。
 永平寺は1244年に道元によって開設された曹洞宗の総本山。よくよく考えてみれば昔日本史の授業で習ったような、と記憶をたたき起こしながらの見学でした。見どころはたくさんありましたが、中でも皆さんの注目を集めていたのが傘松閣大広間の天井絵。総数144枚の天井絵の中から、リス、獅子(青)、獅子(白)、鯉(2匹の白い鯉)、鯉(黒い鯉)という5枚の絵を探し出して願いを込めると、願いが叶うというものでしたが、これはさすがに短時間では見つけきることが出来ず。私の胸に秘めた拙い願いは叶いませんでした。

2.一乗谷朝倉氏遺跡見学
 次の訪問地は福井県一乗谷の朝倉遺跡です。こちらは戦国時代までこの地方で栄華を誇り最後は織田信長に滅ぼされた戦国武将・朝倉義景の居城のあった地です。
 実は私、戦国時代ものが非常に好きでして今回の一乗谷訪問をとても楽しみにしておりましたが、思っていた以上に何もありませんでした(笑)。狭い山と山の合間に水田が開墾されており当時の様子を知る遺跡も復元されていたりしましたが、さすがに当時この地からの天下統一は難しいですね。一時は苦しめた織田家から滅ぼされた後、この地にはその後にはなにも造られることのなかったことへの寂しさも感じさせられた場所でした。

3.昼食(グラン・シェフクーゼ)
 その後はハーモニーホールふくいに移動し、敷地内にあるフレンチレストラン「グラン・シェフクーゼ」にて昼食です。そろそろビールを…と思っておりましたが店員さんがご多忙、かつ私にはこのレポート作成の重責があったため泣く泣く自粛です。テーブルに皆さん分かれて美味しいランチを食べながらそれぞれ話に華を咲かせておられました。
4.福井鉄道乗車(パーク&ライド) ハーモニーホール駅~田原町駅
 昼食の後は、ハーモニーホールふくいの傍にある駅から福井鉄道に乗車してのパーク&ライドサービスの体験です。これは福井鉄道の行っているサービスで、鉄道利用者は提携施設の駐車場を無料で利用できるようになっているとのこと。環境への配慮と周辺施設の有効利用の観点から、福井鉄道の多くの駅で行っているようです。鉄道と車の双方の利便性を高めようという同様の取り組みは全国でも見受けられるようになってきていますが、駐車料が無料というのはなかなか無いのではないでしょうか。午後から降り出した雨の影響であいにくの天気の中でしたが、私と同じ40歳の車両に揺られながら、田原町駅にて下車。すべてのプログラムを終え、帰途につきました。

 最後になりましたが、今回の研修会にあたり台風19号による豪雨で北陸新幹線が多大な被害を受け、東京と金沢間が当時不通になるなど開催に一部影響もあるかと思われましたが、関係者の皆様のご尽力により無事開催されたことに改めて心より感謝申し上げます。

以上