全日駐規格「汎用(共通)サービス券」の導入について

株式会社まちづくり八戸 事務局担当
八戸商工会議所 地域振興課長 藤島章司

1.八戸市中心市街地における共通駐車券事業
 青森県八戸市は人口約23万人。古くから水産業が盛んな地方都市です。また、臨海部には工業港、漁港、商業港が整備され、その背後には工業地帯が形成されており、北東北有数の工業都市でもあります。
 当市中心市街地では、昭和57年に中心商店街10街区により設立された八戸中心商業街区活性化研究会が、同年、駐車場をもたない店舗がお客様への駐車サービスとして利用できる共通駐車券事業をスタートしました。当時の駐車料金は1時間あたり平日150円、休日200円が相場であったことから、券種は50円券と150円券の2種で、1,000円以上お買物された方に当日限りで利用できる1時間相当の共通駐車券を進呈する仕組みでした。事業開始以降、順調に発行高を伸ばし、平成7年にはピークとなる6,166万円を発行しました。この事業は、加盟店が前払いで共通駐車券を購入し、駐車場でお客様が利用した後、駐車場側が換金する際に手数料10%を徴収する仕組みで、同研究会ではこの事業収益を商店街の活性化事業に活用していました。

2.導入の経緯
 発行高のピークであった平成7年当時の加盟店は174店でしたが、平成10年代に入ると商業環境の変化や経済状況の低迷により共通駐車券の加盟店も減少したことで発行高も減少傾向が続き、平成22年には1,283万円となりました。その頃、こうした状況を打開しようと、駐車場のみならずお買物ポイント等も利用できるポイントカード事業を検討した経緯もありましたが事業費の面から断念したことから、取り急ぎ、対応策として、加盟店における進呈基準の緩和、当日限りであった有効期限を進呈から3ケ月後の末日までに変更したほか、駐車場以外にも、バス、タクシー、運転代行の料金支払いにも利用できる仕組みを導入し、お客様の利便性向上を図りました。
 しかしながら、平成25年調査では、中心市街地内の駐車場46ケ所の内、約7割にあたる31ケ所が自動精算機を導入済となり、紙媒体の共通駐車券は使えないという理由で加盟駐車場の脱退も顕著となり、加盟駐車場数はピーク時の34ケ所から、18ケ所にまで減少。こうした現状から共通駐車券の磁気化が必須との気運が高まり、八戸市中心市街地活性化協議会交通アクセス検討部会において、磁気券へのリニューアルを検討開始しました。検討初期段階では、共通駐車券事業を平成19年度に八戸商工会議所が中心となって設立した株式会社まちづくり八戸に事業を移管し、同社の収益事業に充てていたことから、磁気券1枚あたり印刷コストを安価に抑えるため、自動精算機メーカー各社に対応できる八戸オリジナルの磁気券開発を試みました。しかし、最終的には、投資額が大きいという理由で断念する結果となり、平成30年度からは、当市の駐車場が導入している自動精算機メーカー、アマノ、日本信号、三菱プレシジョンの全メーカーで使用できる全日本駐車協会共通サービス券を活用したリニューアルに舵を切り本格的な検討を開始。関係各位との協議・調整を経て、令和元年9月1日、紙券を廃止し、全日駐規格共通サービス券を使用した磁気券にリニューアルすることができました。

3.新たな共通駐車券の概要と導入状況
 新たな共通駐車券は、100円券と150円券の2種、お客様が買い物をした際に集めていつでも使えるようにしようという理由で有効期限は設けていません。加盟駐車場は、タイムズ駐車場12ケ所が一括加盟していただいたことから、リニューアル前の17ケ所から29ケ所に増加。これまで店舗周辺に加盟駐車場がなかった店舗が加盟するなど加盟店数も徐々に増加しております。一方、今回のリニューアルに伴い、バス、タクシー、運転代行での使用は廃止としましたが、お客様にとっては、管理人がいない自動精算機の駐車場でも簡単に利用することができるようになり利便性は格段に向上することができたと考えております。

4.今後に向けて
 共通駐車券を運営している株式会社まちづくり八戸は、当市中心市街地の活性化を専門に手掛ける第3セクターです。今回のリニューアルに際しては、全日本駐車協会様のアドバイスにより全日駐規格共通サービス券を活用できたことにより、費用を最小限に抑えながらも消費者ニーズに対応したリニューアルを実現することができたと考えております。一方、駐車場の料金精算については、技術の進歩等により今後も更に進化していくものと予測しております。今後は、そうした動きも捉えながら、引き続き、加盟店をより一層増加させるとともに、中心市街地にお越しになるお客様の利便性の向上に努めて参ります。

一括加盟頂いたタイムズ駐車場

リニューアルを契機に加盟店を積極的に募集