平成27年春季駐車場研修会参加レポート

株式会社グランドパーキングセンター
取締役総務部長高野和明

平成27年度春季駐車場研修が3月6日(金)に開催され、(-社)東京駐車協会、札幌駐車協会、仙台駐車協会、埼玉駐車協会、名古屋駐車協会、福岡駐車協会から45名が参加されました。

当日は、天気にも恵まれ12時に東京駅丸の内北口の日本工業倶楽部前を貸切バスにて出発、各施設を見学し、盛りだくさんで充実した研修会となりました。

今回の研修は、立体道路制度を活川し話題となった「虎ノ門ヒルズ」を見学した後、通常では立ち入ることは出来ない「環状2号線築地・虎ノ門トンネル」内を(公財)東京都道路整備保全公社様の特別のお計らいにより見学することができ、最後に築地市場を横目に貸切バスで移動し、「豊洲フォレシア」を見学しました。

虎ノ門ヒルズ

【概要】

環状2号線(以前「マッカー サー道路」の愛称があった)は、1946年に整備計画が策定されるも用地買収が難航し着工ができず、1998年に道路を地下化することで着工に向けて動き出したものです。 虎ノ門ヒルズは、この立体道路制度を活用し、道路の上に立つビルとして2011年4月着工、2014年5月に竣工した地上52階建、高さ247m、館内には、事務所、店舗、宅、カンファレンス、ホテルが入る複合建物で敷地内には環状2号線用の裔さ50mの排気塔も設置されています。

トラのもん

館内の配置としては、上層階から47F-52Fがホテル164室、37F-46Fは住宅172戸、6F-35Fがオフィス30フロア、 4F-5Fがカンファレンス、1F-4 Fが26店舗、B3F-BlFが駐車場の配置となっています。 また、虎ノ門ヒルズのキャラクター「トラのもん」は、未来からきたネコ型ビジネスロボットです。 容姿は「ドラえもん」と瓜二つで、2Fアトリウムにいます。

【見学】

貸切バスで虎ノ門ヒルズ前に到着後、アンダーズ東京51階スタジオ(会議室)にて森ビル闊都市開発部長尾担当部長様より計画概要と周辺のまちづくりの説明を受けました。 その後3班に分かれ館内と外部の芝生広場やステップガ ーデンなどをご案内いただきました。時間の制約があり駐車場内の見学が出来なかったことが心残りですが、概要としては、スペースの都合で車寄せが各階にあり、地下 1階から地下3階の駐車スペースには、月極318台、時間貸し155台の外、自動二輪駐車スペースが設けられています。計画概要の説明の中で超嵩層コンパクトシティの実現という説明がありました。

研修風景

立体的な街づくりとして、 ビルを超高層化し、 土地を集約化した結果、街区のスーパー ブロック化と緑地とオープンスペースの確保ができたとのことでした。次に都市防災機能の説明としては、 非常用発電機の設置や非常用食料・飲料及び工具類の備蓄がされていて、 地震対策としての制振装置は1,218基が各階にバランスよく設摘されているとのことで、 将来の災害に備えた防災機能が強化されています。外構部には、 環状2号線の高さ50mの排気塔が設けられています。排気塔は一般的には美観を損ねるものですが、 美観に配慮しモニュメント化したことで工夫した街づくりを垣間見ることができました。この開発は、 立体道路制度を活用した官民連携の長期に亘る市街地再開発事業であると同時に、 環状2号線の地上部の道路整備が進められており、 完成の暁には表参道に匹敵する長さ760mのストリ ート(新虎通り)が完成するとのことで、長期に亘る街づくりを実感できました。

排気塔

環状2号線築地・虎ノ門トンネル

【概要】

環状2号線は、 江東区有明を起点とし、 中央区、 港区などを経て千代田区神田佐久間町を終点とする全長14kmの都市計画道路です。これまでに外堀通りの区間など約9kmが完成していましたが、 昨年3月に新橋から虎ノ門までの1.4kmが新たに完成しました。現在、 未整備の豊洲から新橋までの約3.4kmが工事中で、 2020年の東京オリンピック・ パラリンピック開催時には、晴海の選手村とオリンピックスタジアムを結ぶ重要な道路となる予定です。整備効果は、
①臨海部と都心部を結ぶ交通・物流ネットワ ークの強化
②並行する晴海通りの渋滞緩和など地域交通の円滑化、
③臨海地区の避難ルートの多重化による防災性の向上
などが挙げられます。

【見学】

(公財)東京都道路整備保全公社道路部大野課長様他のご案内で、思いもよらず日比谷神社横の小さな 建屋からからトンネル内部に入り、先ず東京都第一建設事務所環二工事課橋本課長様より事業概要の説明を受けた後、2班に分かれトンネル内と監視室の見学をしました。トンネル内を車で通る機会があっても徒歩による見学は初めてで、暗い中コンクリトの乾いた臭いが漂うトンネル内で、安全施設や防災機能の説明があり、24時間体制の監視室では、現在開通しているトンネルをモニター監視している模様を見学させていただきました。ご説明によると今まで大きな事故は発生していないものの、場所柄酔った人や自転車でトンネル内に入ってくる方がいるそうで、その都度対応しているとのことでした。自動車専用トンネルの安全は、24時間体制で守られていることが理解できました。

項状2号線築地・虎ノ門トンネル内

監視室

豊洲フォレシア

【概要】

豊洲フォレシアは、近年目覚ましい発展を遂げ、注目度が高まるとともに2020年東京オリンピック・パラリンピック会場にも隣接する大規模オフィスビルです。豊洲地区における晴海通りに面した交通利便性の優れた場所(東京メトロ有楽町線「豊洲」駅より徒歩1分)に位置し、1階が店舗、2-16階が事務所という構成になっています。環境への配慮として、敷地面積に対して約44%の緑化率を確保し、外気や自然光の取り入れを行っているほか、国内大型オフィスビルで初の試みとなるリチウムイオン電池を用いた電力需要のピ クカットがなされています。事務所部分の基準階は、貸付有効面積約1,390坪、奥行約18-19mを有するレイアウト効率に優れたセンタコアの執務空間であり、大規模な集約移転のニズに応えることが可能とのことでした。建物外観は、睛海通り側の洗練されたガラスカ テンウォ ルに加え、温かみのあるタイルの外壁が豊かな表情を創り出し、周辺環境と調和しながらも個性の感じられる外観を生み出しています。さらに、BCP (※)対応を強化するテナントニーズに応えるべく、耐震性能を向上させる基礎免震構造、72時間稼働が可能な非常用発電機、万一の浸水に備えビル基幹設備を2階レベルヘ配置する等、多様な防災機能を採用した災害に強いビルとなっています。

(※) BCP : Business Continuity Plan 災害などのリスク発生に対して重要業務が中断しないよう備える計画

【見学】

豊洲フォレシアを管理する三菱地所プロパテイマネジメント(株首都圏営業管理部畑中副主事様からエントランスホール、基準階、地下にある制裳設備や電気室、外構廻りをご案内いただきました。このビルの設計コンセプトは、豊洲という立地を考慮し、防災機能強化と周辺環境の調和です。 防災機能強化としては、
①万ーの浸水対策として基幹設備である電気室などを2階に設置したこと
②基礎免震構造の採用
③外部の建物周辺には地震の揺れを吸収する溝を設けたこと
④非常用発電機は72h運転可能
以上の4点が挙げられます。 環境の調和としては、敷地面積の44%を緑化し、周囲の住宅との共生を図る工夫がされていました。 見学中も周囲の住民がビルの周辺や館内を歩く姿はごく自然に感じられ、豊洲地区の最先端の街づくりを体験することができました。

豊洲フォレシア

最後に

豊洲フォレシアの見学後、館内の飲食店で意見交換会を行いました。(-社)東京駐車協会の山口副会長様の乾杯で始まり、鍋料理を食べながらお酒を飲みつつ和やかに歓談し、初めておHにかかる方と名刺交換を行い貴重な情報交換ができました。 今回の研修は、都心部の駐車場や都市施設、街づくりに関連した先進的なプロジェクトの見 学に相応しい研修会でありました。 このような機会をつくって頂いた企画委員会・事務局の方々や、懇切丁寧にご案内いただいた森ビル昧様、(公財)東京都道路整備保全公社様、三菱地所プロパテイマネジメント(株)様に改めて厚く御礼申し上げます。有難うございました。

意見交換会